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『パタン』
静かにドアの閉まる音がする…



この部屋は
ここに来た時に
私に割り当てられた場所で…

元々は
誰かが具合が悪くなった時に隔離部屋として
用意してあったらしく
部屋自体は広くないけどバストイレはもちろん、小さな冷蔵庫なんかも置いてあって
快適に暮らせている…



『ドスン』

彼が私のベットの淵に腰をかけ


被っていた黒いキャップをその辺に放り投げると…

『コツン』と音がした…



彼は掴んだままだった私の袖を
『グイッ』っと引っ張って

彼の両腕で私のお腹あたりを
『ギュッ』っと巻きつけて
抱きしめてきた…



私は無抵抗のまま
言葉を発することもなく…

ただ彼がする事に
されるがままでいた…


ふと下を見ると

彼の髪の毛にキャップの跡がついている…


その跡を
髪の毛に指先が触れるか触れないかぐらいで
そっと直していると…



「…昨日は、その…ごめん……
どうかしてたんだ…仕事でも色々あって…」

かろうじて聞き取れる小さな声で
彼がボソボソと話している…



……私は返事の代わりに

…彼の髪の毛をクシャと撫でて…

彼の頭を抱きしめた…



しばらくの間
ふたりで
そのままの格好でいると…



「……ん〜…ほっとしたら…なんか眠くなってきちゃった…
A…このまま…ここで…寝てって良い…?」

って、彼がもう寝言みたいに
『フワフワ』と言うので…



私は彼の頭を撫でて
ベットに寝転がれるように促した…



「……ねぇ…A…いつもの…してくれる?……」



彼が身体を横にしながら

私に向かって…
もう寝かかった顔で…

よほど眠いらしく
目を『シバシバ』しながら
お願いしてくるので…



私は頷いて返すしかなかった…



それを見た彼は
プレゼントを貰った子供みたいに
にっこりと笑って



『ドテッ』とベットに仰向けになると
手を胸の前で組んで…
私が今からする事をお利口にして待っている…



……彼は寝る時は

下着だけで寝るので…

まず順番に服を脱がせて…


それから彼にうつ伏せ寝になってもらい
そしていつもしているオイルマッサージを
脚の先から全身にゆっくりとする…
最後は首と腰とふくらはぎに
シップを『ペタペタ』と貼って…と…


…すべてが終わった頃には
彼はぐっすりと眠ってしまっていて


『スースー』と寝息をたてている…





『パタン』




私は彼を起こさないように…
そっと部屋のドアを閉め…


オイルで汚れたタオルを数枚持って
ランドリールームに向かった…

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作者名:名無し85203号 | 作成日時:2023年6月30日 12時

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