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別々の大学に通う。
近いけど、少しだけ、遠い。
[いまから講義だよ]
黒[俺は次で今日の講義終わりだよ]
友達はいない。特別つくる必要もなかった。
私には蓮くんがいる。
黒[講義終わるまで近くで待ってるね]
待たせてしまうのか、申し訳ないな。
でも、優しさに、甘えようかな。
友達と話してる人たちが周りを囲う。
大学は1人でも浮かない。
1人の人もたくさんいる。
大学の外では蓮くんが待ってる。
講義が終わった。
自販機に寄る。
春先だし、寒いよね、きっと。
イチゴオレ好きって言ってたな。
ピッ ガタンッ
玄関を出るとずっと先にある門の前で待つ
自分の彼氏の姿があった。
いろんな人にチラチラ見られていると気づかず
音楽を聞きながら本を読んでいる。
やっぱりモテるなぁ。
早く近づきたくて、私のだよって知らしめたくて
走る。できる限りの速度で。
少しずつ近づく蓮くん。
肩を叩く。
「おまたせ、ごめんね、待ってもらって」
イヤホンを外し、本をリュックにしまった。
黒「好きで待ってたのー」
はい、これ、と手渡されるコーヒー。
「乃杏飲めないの知ってるでしょー?」
黒「ごめん、意地悪した笑」
乃杏はこっちね、と差し出されるイチゴオレ。
乃杏もあげようと思って買った、と会話が弾む。
黒「コーヒー飲んでみたら?」
口に広がる苦味。
「にがっ、!!」
ふはっ、と笑う蓮くん。
可愛いね、乃杏。
ほんとに可愛い。と撫でられる頭。
顔が熱くなる。ドキドキしてる。
もう、半年以上いるのに
全然慣れなくて、毎日好きすぎるぐらい。
すっととられる手。
包み込んでくれる大きな手。
風で揺れる黒髪。
風にのって鼻に届く蓮くんの匂い。
「泊まりにくる?」
黒「久しぶりにふたりきりだ。誰にも気にすることなく甘えられるし、ぎゅーもできる」
ふたりきりのときだけ、甘えてくれる蓮くん。
体格もあって大型犬みたい。
ずっと抱きついたまま離さなかったり
たくさん触れてくるしたくさんキスしてくる。
その感触もドキドキして心地いい。
「蓮くんなら何されてもいいよ」
黒「大切だから責任取れるようになるまで待ってて?」
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作者名:あまつかくらげ | 作成日時:2024年3月20日 21時