行ったり来たり行き止まり

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「ユンギさん、今どこにいるんですか？」


ユンギの後ろがやや騒々しい。
家以外の場所にいる事は明らかではあるけれど、子供の声のようなものも聞こえたから。


「今空港、メンバーがちょっとうるさいかも」


場所を聞いて納得。
メンバーの声の判別はつかない故に、うるさいかどうかはよく分からないけれど、子供の声が聞こえた事は納得。

目の前の にある観葉植物に頷いただけの私に、通り過ぎた別な部署の人が奇妙なものを見る目を向けていた。


「俺、今回4泊しなきゃで、すぐ家帰れないんだけど」


その目を気にするよりユンギの話の方に気が集中しているのは明らかで、四泊も(・)帰って来ないのか、と空いてる左手が指折り数えた。


「配送遅延してた荷物が明後日届くから、受け取って家の中に入れといてくれない？」


「あー荷物、分かりました。全然構いませんけど、私ユンギさんの部屋の番号…」


「それは後で俺が送る」


そんな簡単にドアのパスワード人に教えちゃうんだ。
と、思ったけれど、事が事だから仕方ないと言ってしまえばそれまでだ。

だから敢えて聞きはしないけれど、何だかぎこちない感じの沈黙が数秒。
向こう側からユンギの声ではなく雑踏の音しか聞こえない。
私の方はというと


「Aー、部長が呼んでるー」


というドユンの声が聞こえた。
部署のドアから顔を覗かせてるドユンにアクションだけで"今行く"と伝えた。


「ユンギさん、私仕事戻りますね」


半ば慌てて伝えた。
もう用件は終わったし私も仕事だし、切るんだろうなって、"じゃあ"って返事が来ると思ったのに。
'あ'なんて声が聞こえて


「帰ったら連絡するから、なんか作って。俺もなんか買ってくから」


そんな話しの後で'じゃあ'と言って遂に電話が切れた。
ユンギのその声は淡い笑みを浮かべてる表情で脳内再生された。
連絡するって、なんかって、なんとまぁざっくりとした。


「なんだ、今日機嫌良いな」


これは私を呼んだ部長の一言目である。
機嫌良く見える？なんで？
自分の頬を触ったけれど原因は分からず終い。

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