行ったり来たり行き止まり[2]

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す…拗ね…？
私の聞き間違いかと思ったけれど


「拗ねて嘘つくなんて大人げないんですよ」


ジョングクが何かを思い出す様に首を傾げながらもう一回同じ単語を言ったから、聞き間違いじゃなかったという事だ。

嘘？何でそんな嘘を？

私に彼氏がいるって思って、拗ねて？なんで？
私に彼氏がいるって思ったから、自分だけ"上手くいかなかった"って言うのが恥ずかしかったから？とか。
いやそんな馬鹿な。

折角ジョングクが話しに来てくれたのに、頭の中はジョングクが来る前より益々混乱している。

困惑は私の目の動きに出ていた様で


「俺の話が下手でよく分かんないですよね」


'すみません'なんて目を伏せるから、慌てて首を横に振って否定した。
肩幅が広くて大きいはずなのに小さい小動物の様に見える。

その後でジョングクは'うーんと'と小さく唸りながら黒い髪を雑に搔いた。


「今日ここでの会話はオフレコでお願いしたいんですけど」


薄々そんな事だろうなと思っていた事を今更口にして


「Aさんがヒョンの隣の部屋に住んでて、Aさんの料理が上手い事も、何をいつ一緒に食べたのかも、歌がちょっと下手な事も、ぜーーーーーーんぶ」


"ぜーーーーーーんぶ"の時にジョングクは長い両腕をめいっぱい広げた。
歌がちょっと下手な事まで言われてるのは少し癪だ。
が、一先ず置いておくとする。


「全部、聞いてもないのにユンギヒョンから勝手に話してきたんです」


"聞いてもないのに"というワードが引っかかったがそれも今指摘しなくても良さそうだ。
それよりも、ユンギが勝手に全部話したって。

ただ日常に起きた事の共有をメンバー同士でした、というだけなんじゃ…


「だからつまりそのー…シュガヒョンがそんな誰かと楽しそうに何したとか何食べたとか言うのって、ほんと珍しい事なんですよ、だから…」


ジョングクの話が散らかり始めた気がしたが、私の頭も心もそんな事は全く気にならなくて。
嘘みたいな現実の話が私の心臓を落ち着かなくさせる。


「ヒョンはAさんの事…、って、ここから先は俺が言う事じゃないんで言えませんけど」


'オフレコでも！'と、少し大きな声で言ったジョングクの耳が赤くて私まで耳が熱くなった。
オフレコなのにどうやって忘れろと…！？

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